ユニット3:イスラーム急進派

ユニット3は、現在のイスラーム世界で大きな社会問題となっている過激主義(ジハード主義、タクフィール主義)の問題をあつかいます。KIAS全体の統一テーマ「イスラーム世界における国際組織の基礎研究」に照らせば、カーイダトゥルジハード組織(いわゆるアルカイダ)を代表とする国際テロ組織、アフガニスタンやイラク、チェチェン、カシミールなどの紛争地情勢、イスラームを標榜する非合法暴力運動などが主たる研究対象になります。

【イデオロギー研究】
 急進派研究では「暴力」が鍵になります。そして、どの組織も「暴力」を正当化するイデオロギーを精緻に構築しており、それが、その暴力の対象とともに、急進派各派の生成・発展・衰亡を理解するために重要になってきます。またかれらが目指す未来への、正確な理解も必要です。
 さらに、古典的なイスラーム法学や1960年代以降のイスラーム運動がもっていたイデオロギーと現在の過激組織のイデオロギーがどのように違うかについても考えていかねばなりません。

【組織論】
 9.11以後のアメリカを中心とする対テロ戦争、イラク戦争のなか、その標的となったジハード主義・タクフィール主義系組織の多くはその組織のありようを変貌させていったといわれています。メンバーのリクルート、プロファイリング、資金を含めた組織論もイデオロギー研究と並ぶ重要なテーマです。
 また「自爆」を中心とする、かれらの戦術についても、関心を向ける必要があります。

【仮想空間】
 21世紀の急進派の展開は、インターネットを抜きに語ることはできません。単なるプロパガンダの手段としてだけでなく、仮想空間上にプレゼンスを有する存在、つまりインターネット上のバーチャルなイスラーム国家や、デジタル・ジハードもきわめて重要な研究対象となります。

【データベース構築】
 ジハード主義イデオローグたちの著作・声明類、個々の事件、重要人物の記録をデータベース化することによって、正確な情報を共有できるシステム構築を目指します。


メンバー

ユニットリーダー
・保坂 修司(近畿大学 教授)



→活動記録へ


KIASユニット3「急進派」第1回研究会
(2008年12月6日 於早稲田大学)
発表1: 西野正巳(防衛研究所)「『現代の思想諸学派』におけるムハンマド・クトゥブの思想」
報告→

KIASユニット3「急進派SIASグループ1共催ワークショップ「アフガニスタンは今どうなっているのか」
(2008年10月18日 於京都大学)
発表1: 高橋博史(外務省国際情報統括官組織)「タリバーンとは何だったのか?――ムラー・ウマル・ノート――」
発表2: 樋口征治(中東調査会)「アブダッラー・アッザームとアラブ・ムジャーヒディーン」
発表3: 田中浩一郎(日本エネルギー経済研究所)「アフガニスタンの今」
発表4: 宮坂直史(防衛大学校)「米国の対テロ戦争とアフガニスタン」
発表5: 保坂修司(近畿大学)「カーイダの現状」
報告→

ユニット3第2回研究会
(2007年11月30日 於京都大学)
発表1:「現象としてのジハード主義――その史的展開と現状」
発表2:「イラクにおける急進派の系譜」 報告→
ユニット3第1回研究会
(2007年9月21日 於早稲田大学)
報告→