【スーフィズム・タリーカ・聖者信仰・サイイド/シャリーフ複合】
KIAS第2班では、SIASと協力しながら、「スーフィズム・タリーカ・聖者信仰・サイイド/シャリーフ複合」という領域を対象とした研究を遂行しています。

・スーフィズム(普通「イスラーム神秘主義」と呼ばれるもの)
・タリーカ(「スーフィー教団」としばしば訳されます)
・聖者信仰
・サイイド/シャリーフ(預言者ムハンマドの子孫)
という4つのトピックは、それぞれに関係を持ちつつ重なり合っていますが、他方ずれているところもあります。
これら4者をあらかじめ一括りのものとして理解しないで、作業仮説として別個のものとしたうえで、それらがどういう風に複合しているのかをきちんと検証しよう、と私たちは提唱しています。

【広域タリーカ研究】
タリーカはイスラーム世界中に広まっています。
各々のタリーカの研究と、タリーカとは何かというタリーカ論の両者があいまって、研究は進んでいきます。
広域タリーカとは、複数の国にまたがって国際的に活動を展開しているスーフィー教団のことを言います。
具体的には、ナクシュバンディー教団、カーディリー教団、シャーズィリー教団などを挙げることができます。
現代イスラーム世界におけるほかの国際組織と比較しつつ、また歴史をも踏まえつつ、研究を進めていきます。

【共同研究の始まり(1997年)】
この土台となる共同研究が始まったのは1997年で、当時の設立趣意書には、次のようなことが書いてあります。

設立趣意書(1997年)
1スーフィズム・民間信仰・聖者信仰の研究者は、複数の地域・ディシプリンにわたって数多く存在するが、連携はほとんどない。
2スーフィズムとは何か、スーフィズムと民間信仰・聖者信仰の関係は、イスラームにおけるスーフィズム・民間信仰・聖者信仰の位置付けは、など多くの問題が、十分に考察されないまま残っている。
3.こういった問題を解決するために、通地域的・学際的な共同研究を行う必要がある。

こういった問題意識に基づいて、過去15年ほどにわたって共同研究を展開してきました。

【これまでの成果】
15年にわたる共同研究の成果の一部として、次のような研究を発表しています。

Masayuki AKAHORI (ed.), Special Issue: 'Towards New Perspectives on Studies of Sufis, Saints and Sayyid/Sharifs,' The Journal of Sophia Asian Studies 22 (2004).

赤堀雅幸・東長靖・堀川徹編『イスラームの神秘主義と聖者信仰』東京大学出版会,2005年1月。

Yasushi TONAGA (ed.), Special Issue: 'Sufism and Tariqa Movements in the Era of Islamic Resurgence," Annals of the Japan Association for Middle East Studies 21-2 (2006).

Yasushi TONAGA (ed.), Special Issue: 'Birth and Succession of Holiness among Sufis and Saints,' Orient 42 (2007).

Yasushi TONAGA (ed.), Special Issue: 'The Tariqa's Cohesional Power and the Shaykhhood Succession Question,' Asian and African Area Studies 7-1 (2007).

Yasushi TONAGA (ed.), Special Issue: 'Rethinking Tariqa: What Makes Something Tariqa?' Kyoto Bulletin of Islamic Area Studies, vol. 2-1 (2008).

赤堀雅幸編『民衆のイスラーム-スーフィー・聖者・精霊の世界』山川出版社,2008年4月。

Kei TAKAHASHI (ed.), Special Issue: 'Sufis and Saints Facing the Government and the Public', Orient 46 (2011)


  • 広域タリーカ研究班責任者
    • 東長 靖(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科 教授)
  • 広域タリーカ研究班研究分担者
    • 濱田 正美(龍谷大学文学部 教授)
    • 今松 泰(京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科附属イスラーム地域研究センター 客員准教授)
    • ティエリ・ザルコンヌ(フランス国立科学研究センター 主任研究員)
  • 広域タリーカ研究班研究協力者
    • 石田 友梨(早稲田大学アジア太平洋研究センター・助手)
    • 上野 愛実(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    • 内山 明子(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    • 遠藤 春香(ロンドン大学東洋アフリカ研究学院 研究生)
    • 岡戸 真幸(上智大学言語教育研究センター・非常勤講師)
    • 加藤 瑞絵上智大学 非常勤講師)
    • 鎌田 繁(東京大学東洋文化研究所 教授)
    • 苅谷 康太(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 助教)
    • 川本 正知(奈良産業大学地域公共総合研究所 教授)
    • 後藤 明(東京大学 名誉教授)
    • 小牧 幸代(高崎経済大学地域政策学部 教授)
    • 近藤文哉(上智大学グローバル・ス タディーズ研究科)
    • 齋藤 剛(神戸大学大学院国際文化学研究科 准教授)
    • 坂井 信三(南山大学人文学部 教授)
    • 澤井 真(東北大学大学院文学研究科・博士課程/カイロ・アメリカン大学大学院(13.04.27時点留学中))
    • 塩崎 裕子(上智大学外国語学部 日本学術振興会PD特別研究員)
    • 篠田 知暁(名古屋大学 非常勤講師)
    • 高尾 賢一郎(上智大学アジア文化研究所・共同研究所員)
    • ダニシマズ・イディリス(同志社大学グローバル・スタディーズ研究科 助教)
    • 外川 昌彦(広島大学大学院国際協力研究科 准教授)
    • 栃掘(所) 木綿子(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所 日本学術振興会PD特別研究員)
    • 飛内 悠子(大阪大学/日本学術振興会・特別研究員(PD))
    • 中西 竜也(京都大学白眉センター 特定助教)
    • 仁子 寿晴(関西学院大学 非常勤講師、同志社大学 非常勤講師、立命館大学 非常勤講師、関西大学 非常勤講師、京都大学 非常勤講師)
    • 二宮 文子(青山学院大学 准教授)
    • 藤井 千晶(大阪大学大学院言語文化研究科・招聘研究員)
    • 二ツ山 達朗(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    • 丸山 大介(日本学術振興会特別研究員(上智大学))
    • 茂木 明石(上智大学イスラーム地域研究機構 研究員)
    • 守川 知子(北海道大学大学院文学研究科 准教授)
    • 森山 央朗(同志社大学神学部 准教授)
    • 矢島 洋一(奈良女子大学大学院人間文化研究科人文科学系 准教授)
    • 安田 慎(帝京大学経済学部観光経営学科 講師)
    • 山尾(木下) 博子(九州大学 日本エジプト科学技術連携センター・学術研究員)
    • 山本直輝(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科)
    • 吉田 京子(東京大学大学院人文社会系研究科アジア文化研究専攻イスラム学講座 助教)
    • リュイザール, ピエール=ジャン(フランス国立科学研究センター 主任研究員)
    • 若松 大樹(日本大学文学部 日本学術振興会PD特別研究員)