イスラーム地域研究の第2期が2011年4月から始まりました。
 第1期5年は2006年から本年まで実施され、研究プロジェクトを成功裡に展開することができました。「拠点形成事業」全体として、5つの拠点を設立し、京都大学でも京大拠点として「京大イスラーム地域研究センター(KIAS)」が設立されて、しっかりと根を張ることができました。
 京大の場合は、それと連動して、2004年に新しい「グローバル地域研究専攻」が設立され、その中に「イスラーム世界論講座」も設置されました。イスラーム地域研究と有機的に結びついて、大学院教育がおこなわれ、若手の育成も進められています。
 イスラーム地域研究の大きな目的の一つは、若手研究者の育成です。それには、人材を研究面で育成することだけではなく、若手が就くことのできるポジションを増加させることが必要です。それにも、成功してきました。
 本年4月から、研究科に所属するイスラーム地域研究の専任教員も3名となり、KIASの専任・客員のスタッフと合わせて、関西ではイスラーム/イスラーム世界に関する最大の研究・教育拠点となっています。
 このように順調に発展することができたのは、皆さまの温かいご支援の賜物であります。これまでのご支援に、深く感謝申し上げます。
 ますます進展するグローバル化と共に、学術分野・研究領域としての地域研究の総体も、研究拠点形成を進めるべき重点地域としてのイスラーム地域研究も、いっそう責務が重くなっていきます。第2期が始まるにあたって、皆さま方のいっそうのご支援、ご鞭撻をお願い申し上げる次第です。

京大拠点代表



 第2期においては、第1期に設立された研究拠点を、さらに整備し、いっそうしっかりと確立していくことが、最大の目的となります。木にたとえれば、第1期に植樹され、きちんと根を張ることができたとすれば、第2期には、幹を太くし、天に向かってより多くの枝を広げ、太陽の光をいっぱいに吸収して葉を繁らせるよう、努めていきたいと思います。

 具体的には、以下のようになります。

1.研究課題:イスラーム世界の国際組織とグローバル・ネットワーク

2.特色ある拠点づくり
 (1)文理融合による総合的地域研究とその研究成果のさらなる発展
 (2)イスラーム地域研究の大学院教育および若手育成を推進する拠点の構築

3.第2期の組織:1グループ・3班編成
(グループ全体の研究課題は、1.に記載)
 (1)「国際関係(国際組織・情報ネットワークを含む)」研究班
 (2)「広域タリーカ」研究班
 (3)「イスラーム経済とイスラーム法」研究班

4.事務局体制:第1期からさらに強化
 (1)事務局
 (2)編集制作室、データ解析室
 (3)研究科・アジア図書室との連携

5.グローバル研究セミナー
 第2期から、「KIASグローバル研究セミナー」を新設しました。これは、3つの班が企画する研究会やセミナーとは別に、拠点全体に関わるようなテーマで随時開催するものです。「グローバル」と冠したのは、いっそうグローバルな研究を進めるという意味もありますが、特に、第2期の研究課題に「グローバル・ネットワーク」を加えましたので、その面についての研究セミナーを強化していく予定です。