• 「セネガルにおけるスーフィズム・タリーカ・聖者信仰に関する研究会」
    (2019年7月28日(日)上智大学)


    日時:7月28日(日)午後2~6時
    場所:上智大学四谷キャンパス上智大学四谷キャンパス2号館6階2-603(総合グローバル学部会議室)
    *会場の位置・経路の詳細については、以下をご参照ください。
    https://www.sophia.ac.jp/jpn/info/access/accessguide/access_yotsuya.html

    発表:
    池邉 智基+末野 孝典(ともに京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・院生)「セネガルにおけるスーフィズム・タリーカ・聖者信仰に関する概況」

    池邉 智基「ムリッド教団の信徒による「献金 addiya」をめぐる推論過程―托鉢と説教の場に着目して―」

    末野 孝典「イブン・アジーバの存在一性論理解―カブダの語に着目して―」

    【主催】
    京都大学イスラーム地域研究センター(「現代中東地域研究」京都大学拠点)
    上智大学イスラーム研究センター(「現代中東地域研究」上智大学拠点)
    科学研究費補助金・基盤研究(A)「イスラーム神秘主義の構造的理解-スーフィズム・タリーカ・聖者信仰複合現象の解明」
    科学研究費補助金・基盤研究(A)「イスラームおよびキリスト教の聖者・聖遺物崇敬の人類学的研究」
    京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター




2019年7月28日、上智大学研究機構イスラーム研究センター、京都大学イスラーム地域研究センター、科学研究費補助金(基盤研究(A))「イスラームおよびキリスト教の聖者・聖遺物崇敬の人類学的研究」、科学研究費補助金(基盤研究(A))「イスラーム神秘主義の構造的理解:スーフィズム・タリーカ・聖者信仰複合現象の解明」および京都大学ケナン・リファーイー・スーフィズム研究センター主催によるスーフィズム・聖者信仰研究会が開催された。参加者は20名弱を数えた。

【概説】
「セネガルのスーフィズム、タリーカ、聖者信仰に関する概況」
冒頭、本日の研究発表者でもある池邉智基、末野孝典両氏から、9月実施予定のセネガルでの共同調査準備を兼ねた概説の時間が取られ、活発な質疑応答がなされた。

報告者:池邉智基(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
題 目:「ムリッド教団の信徒による「献金 addiya」をめぐる推論過程:托鉢と説教の場に着目して」

池邉氏はセネガルのスーフィズム教団であるムリッド教団において「バイファル」と呼ばれ、礼拝や断食をせず、労働をすることを重んじる一派について発表を行った。具体的には、路上での托鉢の声掛けや、犠牲祭などで献金を募り、教団の歴史を語る行為を通じて、どのように指導者のメッセージが伝達され、信徒らによる献金等の行為が理由づけられるかに注目した発表であった。とくに、その場での語りの分析を中心に据えることで、托鉢や説教の場において言説伝統として献金をめぐる行為が理由付けられ、競技場に明言されない「労働の教義」が人々に内在化される様子を描き出す可能性が示された。これに対して、質疑応答においてはtravailに「労働」という訳語を当てることによって研究者の教義理解が限定的になってきた可能性が指摘された他、アサドに由来する言説伝統概念を語りの分析に援用することについて主に人類学者から多様な意見が出された。

報告者:池邉智基(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科博士課程)
題 目:「ムリッド教団の信徒による「献金 addiya」をめぐる推論過程:托鉢と説教の場に着目して」

池邉氏はセネガルのスーフィズム教団であるムリッド教団において「バイファル」と呼ばれ、礼拝や断食をせず、労働をすることを重んじる一派について発表を行った。具体的には、路上での托鉢の声掛けや、犠牲祭などで献金を募り、教団の歴史を語る行為を通じて、どのように指導者のメッセージが伝達され、信徒らによる献金等の行為が理由づけられるかに注目した発表であった。とくに、その場での語りの分析を中心に据えることで、托鉢や説教の場において言説伝統として献金をめぐる行為が理由付けられ、競技場に明言されない「労働の教義」が人々に内在化される様子を描き出す可能性が示された。これに対して、質疑応答においてはtravailに「労働」という訳語を当てることによって研究者の教義理解が限定的になってきた可能性が指摘された他、アサドに由来する言説伝統概念を語りの分析に援用することについて主に人類学者から多様な意見が出された。

(文責:内山智絵・上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科博士後期課程科)